WOODJOB×KINO 矢口史靖監督 単独インタビュー

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矢口史靖監督 単独インタビュー

KINO Tokyo Tree Products ブランドで商品やイベントなどを展開する株式会社budoriは、ひょんなことから映画『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』の試写会で矢口史靖監督にインタビュー。
矢口監督が撮影を通して感じたことや、山の思いで、林業のことなどをKINO目線でうかがいました。

矢口監督と山の思い出

—私たちの会社(株式会社budori)は、オフィスは千代田区にあるのですが、多摩産の木材を使った「KINO Tokyo Tree Products」というブランドを展開しています。
この「KINO」のお付き合いから、今回、この映画『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』を紹介する機会を作っていただくことになりました。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

矢口:よろしくお願いします。KINO…、って、ロシア語だったかな?映画(キノ=Фильм)のことなんですよね。偶然だけど、なにかすごい一致ですよね。
『WOOD JOB!(ウッジョブ)』は『キノ』ってタイトルでもいけたかもしれない。

(KINO つくるキットを手にとって)

矢口:あ、これ自分で削るんですか?道具は、何を使って削ればいい?カッターでもいけるんですか。なるほど。

—製品は、東京の山の木で作っています。都心にいると、なかなか意識しないことですけど、新宿からほんの1時間か2時間程で、豊かな山に出かけることができます。
矢口監督にとって「山」と言われて思い出す山は、どこですか?

矢口:大山(おおやま)ですね。大山(だいせん)だと鳥取になってしまうけど。神奈川県伊勢原市の大山です。
あとは、子どもの頃に住んでいた家の近所の小さな山ですね。
それは映画の中に登場したような奥深い山ではなくて…。本当に丘と言ってもいいような小さな山でしたけども。

子どもの頃、夏休みのたびに、ものすごく朝早く起きて、クワガタとかカブトムシを捕りに入ってました。
やっぱり、その頃の記憶って、いまでも鮮明に覚えていますね。
ゴム草履に半ズボンで山に入って。夜露に濡れた草とかが結構じめじめしててね。気持ち悪かったり。
ススキで足とかを切って、そこが痛がゆくなったりして…そういう思いをしても、虫が捕れない日もあったり。

そういうことが子どもの頃、日常的にありました。
ですので、今回、映画のために山に入るというのは、決してイヤではなかった。
つまり、野原とか山とかそういうものが。自分にとっての原風景と言えるんでしょうね。

—映画の撮影で山に入られて、子どもの頃のことを思い出しましたか?

矢口:思い出しましたけど。…やっぱり杉の木の人工林って、匂いが全く違うなって思いました。

僕が住んでたところはクヌギとかクリの香りがしてましてね。
これって、広葉樹と、人工林の針葉樹の違いということなんですかね。
匂いが全く違いましたね。匂いって、人の記憶にとても深く根ざすらしいんです。
文字情報とか視覚とか聴覚なんかよりも、匂いがいちばん脳に焼き付くらしいですね。
こう、街を歩いていて、ふっとかいだ匂いがきっかけになって、
突然、ちっちゃい頃のこと思い出すっていうことが起こるって言いますね。
僕自身、時々、ありますよ。そういうこと。

ただ、匂いっていうことでいうとね。僕、花粉症なんですよ。重度の。春には本当に、匂いもわからなくなってしまう。

撮影を通して、変わった林業に対するイメージ

—日本のどこでもそうかもしれないけど、とくに東京では、春先に杉の木がすっかり悪者になってしまう部分がありますね。矢口監督は、今回、『WOOD JOB!(ウッジョブ)』の撮影を通して、林業に対するイメージって変わりましたか?

矢口:変わった。えらい変わりました。
林業という産業があるわけですけど、その産業を言葉ではなんとなく知ってても、実際には、なんにも知らないっていうことに気が付くんですよね。

まずそこからです。たぶん映画を観る人も、「あ、何にも知らないや」って思うはずです。
で、映画を観てみるとわかると思うんですが「こういう仕事をしてる人たちが、この近代化された現代の日本で、当たり前にいる」っていう現実に、驚くでしょうね。

そして、映画を作るために脚本作りがあります。
その脚本作りのために、三重県の山にはさんざん通って取材をしていたんですね。
その取材のなかで聞いた、林業家の言葉がとても印象的で…。
そのまま映画にも台詞として使っちゃったんですけど。

「ふだん、自分たちが伐っている大木って、植えた人間の顔を知らない。
祖父さん、曾祖父さんなので、写真ぐらいは残ってても、
会ったこともない人達が植えてくれたやつを伐って生活の糧にしている。
そうして伐られた山に、つぎは植栽でスギの苗を植えてる。
今度、その植えたちっちゃな苗が大きくなって木材になる頃には、
自分たちはもう死んでいて、子どもや孫なんかが伐っていく。
だから、過去を受け継ぎつつ、自分たちは未来を作って。 その成果は決して見ることはできない」
というのが、もうとにかく壮大過ぎて…。

そんな、自分たちの成果が遠い未来だなんて。それでも続けていけるっていうのがね。
いったい、どこにモチベーションを持ってるのかっていうのは不思議だなって思いました。
ふつう、いま働いてる人って「よくやった」「よくやったぜ」って
自分で確認できたりする仕事ならわかりますけど。
そういうものを生きているうちには味わえないってところが、神聖と言うか、不思議な感じがしましたね。

でもその一方では、チェーンソーや斧を使うところとか、映像的には本当に映画に向いてる部分もあるわけです。
そのパワフルな一面と、壮大な部分との二面性に、林業のすごさというか、深さがあるように思います。
そういった部分を、ちゃんと映画で描けるかなっていうのは、撮ってる時にずっと考えてたことです。

—そのモチベーションってどこにあると思いますか?

矢口:わからないです。いまだに…。
たとえば、伐倒が得意な人が、本当にチェーンソーの細かな操作で、すごいピンポイントのところにスパーンと上手く倒しているのを見ました。
その人は、「これが気持ちいいんだよ」っておっしゃっていた。そういう技術を持つ人にとっては、そういうところなのかもしれないと思うんですよ。
ただ、すべての人がそうではありませんし。
あるいは「金が大好きでさ」って言うなら、それもそれでわかりやすいんですけどね。
林業は、そこまで潤沢な潤いがあるというわけでもない…。

植えた木の評価って植えた本人が死んだ後でされるんですね、
植えたり枝打ちしたりして手間をかけた木。だから、非常に謎が多いです。
ふだん、相手にしている木が、人間よりも長く生きるっていうのが、
ひとつのポイントではあると思うんですけどね。

林業家さんの方に取材をはじめたとき、最初ものすごく取材しづらかったことがあります。
それは、林業家さんに集まっていただいたところで、僕らが「なにか面白いことあります?不思議なことや、カッコいいこと、怖いこととか…、あります?」なんて訊いても
「いや、別にないよね」っておっしゃいます。
ふだん、みんなが同じように体験している林業家仲間同士だと、僕らが見てびっくりするようなことも、
当たり前のことだから「別に話すようなことじゃないんだよ」って思ってるんですね。

あんな高いところに上って、あんなすごい景色見てても「いや、当たり前だからさあ」っ思われてる。
それが日常だと、わざわざ、話に出てこないですよね。
だから、取材には、時間が結構かかりました。

きっと、林業家の身内だとしてもね。
たとえば、父親が林業をやっているからと言って、家族が父親の仕事をすべて見ているわけではないと思いますね。
クルマで行けるところまで行くくらいはするだろうけど、徒歩で上がらなければいけないところもあるし、
ましてや、あの高いスギの上での作業なんかは、
たぶん、家族ですらも実態を知らないところもあるんじゃないかな。

—林業を、もっと多くの皆さんに面白く思ってもらえるためには、どうしたらいいでしょうか。

矢口:若い人が入ることだと思います。

林業というのは、木を伐って、運び出して、車に積んで、市場で売る、
というのが基本であり固定概念的な要素でもある。
反対に、林業従事者からは、自分が伐った木からこういうもの(KINO つくるキット)を作り出して販売するなんて、そんな発想はなかなか出てきません。
やっぱりこれから入ってくる若い人の方からは、新しい考え方が出てくると思います。
それがずっと続くかどうかはわからないけど、どんな木であっても「もしかしたら、こういう使い方ができる」っていうアイデアをどんどん出すことが可能かもしれません。
なんらかの研修を経てでもいいし、デザイナーから入ってくるっていうことでもいいかもしれないです。
「試しにやってみない?」っていう感じで。

オフィスでパソコンを使ったり、デスクの上だけではなく。やっぱりちゃんと体験して欲しいですね。
山の急な傾斜で伐倒するとき、何が起きるか、何が大変かというのを、
ちゃんと味わいつつ、そういう仕事をして欲しいですね。

自分の映画を観てるお客さんを見に行きたい

—矢口監督が映画をつくるうえでのモチベーションは、どこにありますか?

矢口:それは、ものすごい簡単な質問です。
それは、映画館にあります。
公開中に、そこに行けば、自分の映画を観てるお客さんを見れるんですよ。
そうすると、笑ってたり泣いてたり、びっくりしてたりがわかる。その瞬間が最高です。

だから、レストランとか食堂だとしたら、暖簾の隙から覗いて、料理を食べているお客さんの様子を伺っているイメージです。
客が美味しそうな顔してるかな?って。
そういうお客さんのリアクションを背中で感じるのではなく、もう、直接、見に行きたいんです。
だから、自分の映画が公開中は、劇場に通いますね。もう本当にストーカーのように。
とにかく、お客さんの顔を見たいんです。その瞬間のために映画作ってます。

—『WOOD JOB!(ウッジョブ)』は、どんなお客さんに観てもらいたいですか?

矢口:まあ、いちばん中心は、これから社会に出ようとしている学生さん、
あるいは出たばっかりの若い人達が、主人公に一番感情移入できると思います。
ですけど、社会人の皆さん全員が、共感できる部分もあると思うんですよね。
「ああ、あの時あったな」とか 「私、いま自分の仕事がつらいって思ってる」っていう人も、
この映画に描かれている林業の大変さを観ちゃったら「いや、まだまだいけるわ」っていう、
そんな勇気がもらえるんじゃないかな。

あとは、地方に住んでらっしゃるようなお年寄りの人たちもね。
都会の若者が自分のところにやってきたらどうなるだろうっ て、
そういう人たちの視点でも楽しんでもらえるかと思いますね。

ただ「里山暮らしや林業家を目指している人、これが入門編です」とは言いません(笑)。

—それは、どうしてでしょう?

矢口:映画って、文章で書いて配布するとか、インターネットで何か情報を流すっていうよりも、よりわかりやすい形で、イメージがダイレクトに広がってしまうものです。
逆に言えば、注意深くしないといけないところもあるわけです。

だから「林業いいよ。里山いいよ。誰でもウェルカム!」なんて簡単に言ってしまったら逆に失礼ですからね。
ちゃんと厳しいし、大変だし、危険もある。
村に住もうと思ったら、誰もが温かく迎えるわけではなく、反発する人もいる。
そうやって馴染んでいった先に豊かさが手に入る。…のかもしれない。
ということも、映画ではちゃんと描かないといけないなと、思っています。

—本日は、どうもありがとうございました。

BOY MEEtS WOOD JOB!

woodjob

『ウォーターボーイズ』(01)『スウィングガールズ』(04)『ハッピーフライト』(08)『ロボジー』(12)と数々のヒット作を世に送り出してきた、今、最も次回作が期待される矢口史靖監督最新作!!

これまでユニークなテーマに目をつけ、日本中に笑いと感動を届けてきた矢口監督が次に選んだのは、なんと“林業”! 原作は、三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」(徳間書店刊)。都会育ちの少年がひょんなことから、ケータイも圏外でコンビニもない、“森”で働くことになり…。まったくの未知なる世界に飛び込んでしまった、一人の若者の成長を軸に繰り広げられる爆笑と感動の物語。

スクリューボールな展開に笑い、ダイナミックなクライマックスに手に汗握り、人間と自然がおりなす温かなエンディングに胸がアツくなる!!矢口ワールド全開! 現代の閉塞感をぶっ飛ばし、“なあなあ”と生きていく勇気がふつふつと湧いてくる!!100年愛されるエンタテインメント超大作が誕生します!!!

WOOD JOB!公式サイト

KINO

KINO -TOKYO TREE PRODUCTSは、株式会社budoriが立ち上げた、東京の木を使ったプロダクトブランドです。

使用する「東京の木=多摩産材」とは、高度成長期に東京のやまに植林された針葉樹。東京の山には需要が低下し、伐られずやまに放置されている木がたくさんあります。

KINO は、そんな東京のやまの木を使って製品をつくることで山の循環へ貢献しています。
昔の人の思いを知り、それを現代のくらしに生かすものづくり。

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